サントリーから発売されている『伊右衛門』という緑茶をご存知でしょうか?
寛政二年に創業された京都福寿縁の茶葉と、厳選され、磨きぬかれた天然水を使用しているという触れ込みのあれです。
わたくしもここ2,3年の間、ペットボトルの飲み物はほとんどこれしか買っていません。
いや、正直に申し上げまして低学歴低収入なわたくしにそんな上品な味がわかるわけも無いのですが、では何故それほどまでにこの製品を贔屓にするのかと申し上げますれば、実はわたくしこの『伊右衛門』の
テレビコマーシャルの大ファンなのです。
久石譲の『Oriental Wind』を背景曲に、時代劇風の情緒ある町並みの都がその舞台。
登場人物は、本木雅弘(元シブガキ隊)の演じる若き茶匠と、宮沢りえが演じるその妻の二人。
一昔前の料理漫画の主人公の如く単純愚直に茶を極めることだけに情熱を燃やす茶匠と、そんな彼を暖かくフォローする妻、と基本はこういうコンセプト。
既に30近いバージョンが放送されている長いシリーズなんですが、その中でもわたくし一押しの回を、ちょっと皆様にもご覧頂きたい。
如何でしょう?
こう、
胸キュンとかしないすか?わけもなく死にたくなったりしませんか?さて、この動画を見て、わずかにもときめきのようなモノを感じてくれたのならば・・・
もう既に、あなたは海坂藩への手形を握っている。架空の藩である海坂藩が舞台。
藩主食前の毒見役を務める三十石録りの平侍・三村新之丞(木村拓哉)は、鬼役とも呼ばれるこの役目に、内心では不満を抱いていた。
「形ばかりで中身のない、実にくだらないお役目だ」
内心の不興を妻に看破されたとき、新之丞はそんな風に自らの仕事を批判した。
もし本当に毒でも盛られればそれこそ藩を揺るがす騒動に発展するところだが、実際に不穏な気配は毛ほども無く、同じ役目に当たる同僚や広式番の樋口に至っても緊張に欠け、毒見の際にも無駄口を欠かさぬ始末だ。
「俺は早めに隠居しようと思うんだがどう思う?」
ある夜、刀の手入れをしながら、新之丞は加世にそう問いかける。
「隠居して何をなさるのでございますか?」
そう尋ね返す加世に新之丞は、「町道場を開いて子供方に剣を教える仕事をしたい」と答える。
「今までの師匠方の教え方を変えたい。子供は一人一人違うのだから、それぞれの子供の人柄や身体つきにあった剣を教えたい」
そう夢を語り、「収入は減るから暮らしは辛くなるが・・・」と濁した彼を、「そんなこと構いません」と加世は後押しする。
「旦那様、その道場には百姓や町人の子供も入れるのですか?」
と尋ねる奉公人の徳平に、「もちろんだ」と新之丞は答える。談笑は静かに盛り上がった。
しかしある日のお役目の際に、新之丞は突然倒れこんでしまう。
そのまま高熱を出して三日三晩寝込み、やっと目を覚ましたそのときには、彼はもうほとんど失明してしまっていた。
時期の外れた赤つぶ貝の毒にあたったのだ。『海坂藩(うなさかはん)』というのは、原作者・藤沢周平の書いたほとんどの作品の舞台になっている架空の藩であり、この
「武士の一分」を完結編に数える三部作の他2作品、
「たそがれ清兵衛」と
「隠し剣 鬼の爪」も、同じくこの海坂藩を舞台にしております。
藤沢周平の死後に刊行された短編集「静かな木」の巻末コメントにおいて、落語家として、そして作家として有名な立川談四楼氏が「藤沢周平ファンの頭の中には海坂藩の地図がある」と語っているほどに、藤沢ファンにとっては馴染みの深い地なのであります。
残念ながらわたくしの頭の中には、五間川や染川町など藩内の地名がいくつかぼやぼやと点在するだけで、未だ地図という形にはなっていなかったりします。
願わくば、これから更に藤沢作品を読み重ね、そのうちにいつのまにか明確な地図を脳裏に描けるようになっている。そう期待したいと思います。
・・・あっれー・・・?と、とりあえずあれだ!
仕切りなおしにここらで一つ、わたくしに藤沢作品を勧めてくれた超頭脳派文系な友人、
誰が呼んだか通称wiki女に、この場を借りて挨拶を送りたいと思います!
いえーぃ!! Yさん見てるー!?うっし、気を取り直して話題を映画に戻そうぜ。
この作品、さっきちょろっと名前を挙げた二作品と比べてみても、最も原作に忠実に作られていると思われます。
一作目である「たそがれ清兵衛」は、そのタイトルに反して、ベースになってるのはほとんど「祝い人助八」って短編で、ついでに竹光始末(これは自分未読です)てのも混ざってる。ぶっちゃけタイトルの「たそがれ清兵衛」は
主人公の名前と通り名使ってるってだけでもうどっか消えちまってました。
二作目の「隠し剣 鬼の爪」については、実を言うと映画のほう未鑑賞なんですが、聞くところによればこれにも、表題作のほかに『雪明り』って別の短編を混ぜているとのこと。
※この二作が原作に劣ると断言するものじゃありません。とりあえず「たそがれ清兵衛」については、また別の機会にご紹介したい。
ご覧いただいたように、前二作品はいずれも複数の短編を合わせて一作に練り直しているんですが、今回紹介する「武士の一分」は短編作品
「盲目剣谺返し」一作から出来上がっているので、原作を読んだ方でも混乱せずに楽しむことが出来ます。
だがだからこそ、出来ることならば原作を読んでから映画のほうを見てもらいたい!!実はこの「盲目剣谺返し」ですが、藤沢周平の数ある(既読の)短編の中でも、自分が最も好きな作品だったりします。
柄にも無くネタバレを意識し内容は伏せますが、その情緒あるラストシーンなどには、ハタチにもなる男の俺が不覚にも落涙したほど!
ただ残念なことにこれが映画って媒体になると、そういう絶妙な風情とか渋さよりも、ある程度のわかりやすさのほうが優先されてしまうのでしょうか。
一種の悲劇というべきか、そんなマイフェイバリットなラストシーンも、結局
大衆に媚びたキムタクらしいロマンティックで素敵な展開に差し替えられてしまっているのです。
映画を先に見てしまってからだと、原作を読む際に「地味」とか「つまらない」とかそういう悪印象が加わってしまうかもしれませんが、逆に原作を先に読んでおけば、時代劇特有の単語などを予習することも出来るので、映画を視聴する際の手助けになること請け合いでございます。
ページ数にして、この「盲目剣谺返し」は僅か42ページだけなので、時代小説に慣れていない人でも軽く読み下すことが可能です!
さぁ! 興味を持ってくださった方は是非近所の・・・
・・・あっれー・・・?すいません、今回だけちょっと導入部のリテイクを希望するです。
でわ・・・
もう既に、あなたは海坂藩への手形を握っている。それでは、興味を持ってくださった方は是非、近所のブックオフに出かけてみてください!!
今、「本で読んでる奴ってだいたい映画見たときに『原作のほうが面白い』って主張するよな」ってそう長めに呟いたそこのお前。・・・
今回も今回ばかりは反論出来ないかもしらんorzテーマ:映画紹介 - ジャンル:映画
- 2008/01/23(水) 06:31:04|
- 邦画
-
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-
| コメント:5
コメント頂き、ありがとうございます。
藤沢周平・・・というか山田洋次の三部作は全部観ました。
あの人間味溢れる描写が私は好きです。
伊右衛門のCMと『武士の一分』の共通点、なんだかわかります。
あのCMいいですよね〜!!
ぜひ今度、藤沢作品読んでみたいと思います♪
- 2008/01/24(木) 00:22:58 |
- URL |
- じんの 紗々 #4TUF.cSM
- [ 編集]
藤沢周平作品は短編がほとんどなので(長編でも一話完結の連作だったり)、気楽なペースで読むことが出来ますよ。
とりあえず、映画の原作が収録されている単行本を下記に。
武士の一分の原作になった「盲目剣谺返し」は、今回の記事の最後にも紹介した「隠し剣秋風抄」って単行本に収録されています。
たそがれ清兵衛なら、表題作がそのまま名前になってる「たそがれ清兵衛」て単行本を買えば、祝い人助八も一緒に収録されています。
隠し剣鬼の爪の原作が気になるならば、「隠し剣狐影抄」に表題作が、「時雨のあと」に雪明かりが、それぞれ収録されています。
是非、お近くのブックオフへ(ry
さてここで深遠な疑問が浮かぶ。
映画紹介ブログのはずが、何で俺は書評の真似事をしているのだろうか。
- 2008/01/24(木) 01:23:26 |
- URL |
- 右 #LT2zJ62Y
- [ 編集]
詳しく教えていただきありがとうございます!!
今度読んでみます。
3作とも好きだから、どれから読もうか悩みどころ笑
それからリンク貼っていただきありがとうございます。
これからもどうぞよろしく☆
- 2008/01/24(木) 20:27:09 |
- URL |
- じんの 紗々 #4TUF.cSM
- [ 編集]
あ、いやこっちの台詞・・・もとい、こちらこそありがとうございました。
個人的には是非「盲目剣谺返し」をお勧めしたいとこ。
- 2008/01/25(金) 18:20:59 |
- URL |
- 右 #LT2zJ62Y
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レース編物技能検定とは、レース編物の技能を厳正な試験によって検定する試験
http://kenkou.wglorenzetti.com/
- 2008/10/26(日) 11:35:30 |
- URL |
- アラン・スミシー #-
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今、最も検索されてる言葉はコレ!!↓ ↓ ↓ 武士の一分『海坂藩(うなさかはん)
- 2008/03/01(土) 16:25:32 |
- 検索回数1位の言葉たち