Somebody To Rag

8割5分くらい自己満足の為の映画紹介。

サンセット大通り

子供の頃住んでいた町に、先日久しぶりに足を運んでみました。
幼稚園に入る頃から小、中学校を卒業し高校の一年生の冬まで、実に自分の人生の3/4はこの土地で暮らしたわけですが、久々の故郷はなんだか随分変わってしまったような気がしました。
実際には緩慢に訪れたであろう変化も、その過程を知らないとひどく急なものに感じるわけで。
また、見慣れた景色だっただけに変化ばかりが目に付いたのかもしれません。

さて、その中でも一番驚いたのが近所にあった池についてです。
子供たちの世界では結構無茶苦茶な噂や伝説が作られるものですよねそう例えば、「近所の池は底なし沼だ」、とか。
この池も、そんな伝説の一つでした。誰かが適当に口にしたホラが世代を通じて伝染し、いつしか幼児たちの畏怖の対象になる。
しかし彼らも成長して常識で身を固めはじめると、「底なし沼なんかあるわけないだろ常識的に考えて」なんて考えるようになっていき、見向きもしなくなる。
よくある話です。

ですがこの池、自分がいない間に市役所の調査が入ったらしく結果、本当に底なし沼だったって裏づけが取れてしまったとか。





サンセット大通りサンセット大通り
(2005/03/25)
ウィリアム・ホールデン、グロリア・スワンソン 他

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さて今日ご紹介するのは、一度はまったら抜け出せない底なし沼のような関係、ビリー・ワイルダー監督のサンセット大通りです。

ハリウッドの売れない脚本化のジョー・ギリス(ウィリアム・ホールデン)は、借金取りに追われてサンセット大通りにある寂れた邸宅に逃げ込む。
邸宅には、サイレント映画時代のスター女優ノーマ・デズモント(グロリア・スワンソン)が、執事のマックスと二人でひっそりと暮らしていた。
トーキー映画が全盛を迎えた時代、年老いた無声映画のスターは既に世間から忘れ去られていたが、ノーマはもう一度脚光を浴びることを夢見ていた。
彼女はジョーに、自分の書いた脚本「サロメ」の手直しを依頼し、無理矢理邸宅に住まわせる。借金に負われ仕事もなく、明日にも車を取り上げられてしまうジョーはこの依頼を受け、邸宅でノーマとの共同生活を始めるが、いつしかノーマの愛人のようになっていく。
邸宅では時折サイレント映画の大物スターたちが招かれカードゲームに興じ、ノーマはゲームの勝ち分の半分をジョーに渡した。
また、彼女は自分の主演した大昔の映画をジョーに見せては過去の栄光を語った。
ノーマはジョーに様々な贈り物をし、品物を買って与え、彼を独占しようとしたが、ジョーはそんな彼女にだんだん嫌気がさしていく。
そして、年老いたノーマとは対照的に若い魅力に溢れたベティと恋に落ちていく。



前回の「あなただけ今晩は」が一番好きなビリー・ワイルダー作品だとすれば、この「サンセット大通り」は、もしかしたら一番苦手なワイルダー映画かもしれません。
ですが、一番優れたワイルダー作品を挙げるならばと質問されたら、間違いなくこのサンセット大通りの名前を自分は挙げます。
とにかく隅々まで完成された、気分が悪くなってくるほどリアルな作品なのです。

まずそのキャスティングから異常なこだわりを感じます。
世間から忘れ去られ過去の栄光にすがる大物女優ノーマを演じるのは、現実にサイレント映画時代の大女優だったグロリア・スワンソン。
うだつの上がらない脚本家ジョー・ギリスを演じるウィリアム・ホールデンも、そう言えばこのサンセット大通りで抜擢されるまでは仕事に恵まれなかったと聞きます。
執事であり、ノーマのデビュー作の監督でもあった元映画監督であるマックスを演じるのも、グロリア・スワンソン主演の映画を監督したことのある映画監督であり、ノーマが劇中でジョーに見せる無声映画も彼が監督した映画だったとか。
銀幕復帰を夢見るノーマに迫られ困惑するセシル・B・デミル監督を演じるのは、そのセシル・B・デミル本人。
デズモント邸に集まりカードゲームに興じるサイレント映画のスターたちも、実際に無声映画時代に活躍した人物たちであり、チャップリンと並び喜劇王と称されるバスター・キートンも参加しています。

作品に終始して流れる陰鬱な雰囲気もいい。嫌いだけどいい。
物語はジョーの死体がデズモント邸のプールに浮かんでいるシーンから始まり、その死に至るまでの過程を振り返る進行です。
こうして最初に悲劇的な結末を示唆されたことで、作品の視聴に関する姿勢を誘導された気がします。
リストカットしてジョーの気を惹こうとしたりするノーマの行動も、現代のいわゆるメンヘラそのもので怖気がしてきます。

気分が悪くなってくるほどの名作。
皆さんも是非一度ご覧になってください。
いや、まじでホント一度見りゃ十分なんで。

余談ですが、漫画の神様手塚大先生の漫画「ブラックジャック」に、銀幕復帰を夢見るサイレント女優を描いた「あるスターの死」というエピソードがあります。
その話の主役であるサイレント女優の名前が「マリリン・スワンソン」。
あのエピソード、多分このサンセット大通りへのオマージュなんじゃないかと睨んでいます。

テーマ:映画紹介 - ジャンル:映画

  1. 2007/10/14(日) 11:59:05|
  2. 洋画
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